100年インタビュー池澤夏樹〜パイパー@シアターコクーン〜週間ブックレビュー

昨日、NODA・MAPの「パイパー」を観て来ました。えんげきのページの一行レビューではSFだという人もいましたが、私は現在の閉塞した日本のことなのだと感じました。あらゆる物事が数値で表される世界。2009年の現在でも、データ化して数値化することによって既成事実をさも真実のように言いきる人が世界を動かそうとしているんじゃないかと漠然と感じているのだけれど。
人間の幸福を数値で表すこと。ブータンは国王主導で進められた「国民総幸福量」という理念と、近代化という岐路に立たされている。ブータンに羨望のまなざしを向けている日本人は少なくない。多くの日本人は日本に生まれてよかったと思っている反面、疲弊しきっている。矛盾だらけなのだ。100年インタビュー池澤夏樹氏が言ったこの日本という温室はガラスがいつか必ず割れると言っていた。もう、すでにヒビは入っているのかもしれない。未曾有の不況だけが原因ではないような気がする。
しかし、日々のくらしの中で考えるべきことは多い。小市民の生活とはそういうものだ。哲学的な問題を考える時間は24時間の中にほんの数分いや一瞬。
シアターコクーンで「パイパー」を観て帰ろうとしたら、最新刊の新潮に「パイパー」の戯曲が掲載されていた。観たばかりなので、物覚えの悪い私でもまだ新鮮に場面が浮かぶので戯曲を読むことは、牛が草を反芻するように楽しめた。そして、日にちをまたいで週間ブックレビューで篠井英介氏がケラリーノ・サンドロビッチの戯曲「わが闇」というのを紹介していて、戯曲を読むということが自分にとってタイムリーな話題だった。戯曲を単独で読むということと、観てから読むのと、読んでから観るのではどの方法が正解なのかわからないが、面白いものはどこから入っても面白いに決まっているというのが私の一方的な見解。

新潮 2009年 02月号 [雑誌]

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