杉本貴志展 水の茶室・鉄の茶室@ギャラリー間

昨日、乃木坂のギャラ間へ杉本貴志展を観に行ってきました。茶室という制約の中での表現に、無限の可能性というのを感じました。私は観てよかったです。もし、いらっしゃる予定のある方は、人が比較的少ない時間帯に観に行かれることをおすすめします。その方が集中できます。
【鉄の茶室】


その名の通りに鉄によって作られているのですが、それらは鉄の廃材を材料としています。

まず沓刷りには、赤茶に錆びてざらっとして割れ肌石のような質感の重厚な鉄板が敷かれています。

間仕切りには、同じく錆びた鉄板を円形で抜いているパンチングやどこかで見たことのあるような日本的文様、またフランク・ロイド・ライトやチャールズ・レニー・マッキントッシュのデザインを連想させる幾何学パターンが不思議な空間を作りだしている。錆びた鉄は廃墟を連想させるが、一方では永遠の時間というのも連想させられる。たとえ人がいなくなっても、長い時間を存在し続けるような。
【水の茶室】


暗い室内には、一見雪が空から降ってくるようにワイヤーをつたって雫が水面に吸収されていきます。でもその動きは規則的で同じ速度、そしてまっすぐ落下。雫には光があたって、雫そのものが発光体のように見えます。静かに、一定の動きが繰り返されてその中に身を置いてみると、一瞬自分が上昇しているような錯覚に陥ります。電車に乗っているとき、窓ガラスに映る景色が後ろに吸い込まれていくような感じに似ている。水の茶室に設えてあるのは、発光体の水差し。暗いその空間に、降り続ける雫たちと水差しが静かな光を放っている。茶室という結界がそこにはある。