SOHOで働くクリエイターが家を買うということ


6月1日にテレビ東京で放映された「久米宏・経済スペシャル ”新ニッポン人”現わる!」という番組のことを書いたのだが、20代の消費しない若者というような紋切り型の言い方で大変単純化されていたのだが、この不景気な現在で若者だけじゃなくてみんなそんなに思ったよりも消費してないんじゃないかなと思う。
必要なものしか買わないというのは、極めて普通だと思う。まあ、時にはついつい衝動買いをしたくなるときもあるかもしれないけど、それをずっと続けている人はその症状の度合いにもよるけれど、ちょっと買物依存症ぎみ?かもしれない。
そうはいいつつも、みんな貯金していますよ。金額の差こそあれ、将来のために蓄えることは、社会人になって働いてお金をいただくことがどれだけ大変なことかを考えれば、無駄にしたくないと思うのはごく普通のことだと思う。貯金をする理由は目の前の目標のためでなくてもいいと思う。
それで、何故SOHOで働くクリエイターの話になるかというと、会社勤めをしていないフリーランスという状態はとても不安になると口を揃えて言う。私もフリーランスの経験があるからその不安を強く持っていた。実は会社勤めになったからといって、その不安が解消されたということは決してないのだが、フリーランスのそれに比べるとまだマシである。だから、フリーランスの人は不安があるから貯金をしている人が多い。それは20代の人も、30代も、40代も同じだ。そしてクリエイターをしている人というのは、働くことが生きる意味である人が多い。生きることというのは、衣食住。不動産屋のICとしては、やはり住まいということに重きを置いてしまう。もしも自分がSOHOの個人事業主だったとしたら、どうだろう?若いときはお金もないだろうし、不動産を買うなんて想像もしなかったけれど、20代をがんばって節約して、貯金がある程度まとまったら、銀行に預けるだけでいいのだろうか?ということを考えた。
働くことが生活の大部分を占めているのなら、もっと働く環境を重視したいと思う。そして、ひとりで働くっていうのはやっぱり時には寂しいと思うこともある。そんな若い個人事業主を対象として、空きオフィスをSOHOにコンバージョンした物件を提供できたら、どうかな?と考えた。当然、入居者が集まらなければ事業としてなりたたない。それに、コンバージョンするとなると、最低限の設備費に費用がかかる。いろいろクリアしなければならない問題もある。けど、お互い同じように仕事をがんばっている人が近くにいて、顔を合わせれば「お疲れさま」と言葉を交わせるような、ちょっと違うけど「トキワ荘」みたいなビルが、東京の真ん中にあったらどうかしら?と考えてみた。
まんが家さんたちは、いずれ「トキワ荘」を出て行くことになる。そういう一過性の場所というのも、ある意味で憧れるけれど、SOHOならば後々結婚して住まいを別に購入しても仕事場としてそこに留まることも可能だ。立地としては青山あたりかな?と考えているので、クリエイターの仕事場としては申し分ないとおもう。それに、クリエイターといってもいろいろな職種の人がいるから、自分の知らない世界に触れられることもあるかもしれない。月に1度くらい親睦会という名の飲み会があってもいい。みんなそこから帰らなくてもいいわけだし。知り合いが増えて、もしかしたら新しい仕事が舞い込んでくるかもしれない。同じ会社ならいろいろ難しいこともあるかもしれないけど、ある程度の距離があるから諍いよりも共感を持てるような関係になれるといい。
ビジネスでは得られなかった人間関係を、大人になって築くのは思っているより難しい。でも、その気があればできるんじゃないかな?と、真剣に考えているのである。