ミラノ・デザインウィーク2008報告会 08/05/08@東京デザインセンター

デザインセンターでミラノサローネ報告会に行ってきました。行ってないのに、スライドをたくさん見て行った気持ちになりました。しかし、去年よりも29%も入場者数が多かったそうです。すごい…。来年のサローネ期間中ホテル予約合戦が大変そうですね。

【ミラノ国際家具見本市(サローネ)2008】
・期 間 2008年4月16日〜21日(9:30am〜6:30pm)
・出展社 1,380社(家具) 2,450社(全体)
・入場者数 (2008年度)348,000人(内イタリア国外より210,000人)・展示面積 154,000㎡(家具) 230,000㎡(全体)
・1〜4号館…Clasic
・5〜8、10、12号館…Design・9、11、13、15号館…Modern
・<8号館>Poltrona Frau
(Cappellini,Cassina,Thonet,Gufram,Alias),Driade,Moroso
・<12号館>Kartell,Vitra,Sawaya&Morini,Edra,Horm,Zanotta,
Molteni
・<5号館>Meritalia,Magis,Poliform,Giorgetti
・<7号館>Alfrex,Desalto,FendiCasa,WalterKnoll

【トレンド分析】
1.New Antiques…去年に続いて、20世紀はモダンの世紀だった。80'sにポストモダンで出尽くした感があり、デコラティブへの回帰が見られる。
Portna Frauでは、ジャン・マリー・マッソーの「ケネディソファ」が手縫いのボタンなしでクラフト感を出している。
2.Big&Weird…デザインに表層性を求める傾向。日常的なものを巨大にすることにより物語性を表現している。マルセル・ワンダース。
zanottaのソファ。ソファにクラッシックなチェアの背もたれの部分を合わせる意表をついたデザイン。
3.Design Art…Design Gallery Milanoで行われていたアートピースとしての家具。メンディーニの収納家具。(限定3台)ミケーレ・デ・ルッキ。
Vitra Editionで過去のアートピースの写真と共にTriennaleで再展示されていた。
4.Craft Modern…ハンディクラフト。工業製品と対極をなす。MOROSOのソファ。ソファの生地を数種類使って張り込んでいる。テキスタイルの柄はオリエンタルな文様。
5.Graphic Instrusion…グラフィックを効果的にデザインに取り入れる。消費者の動向として、人と違うものを好む傾向が進んでいる。家具でも多品種少量生産になりつつある。そのひとつとして、形は同じでもグラフィックパターンを変えることによって対応していく。ファブリックなどに多く見られる。ミッソーニマリメッコとのコラボレーション。マルセル・ワンダースがmoooiで展開しているグラフィックパターンなど。
6.Green Eco…エコロジー思考。INTERNIミラノ大学での展示は「環境」をテーマに喜多俊之氏、伊藤節・志信氏、パトリック・ブラン氏などが展示。リサイクルやアンティークのリプロダクションなど。
【フィエラサローネ】見本市会場内
1.<8号館>Poltrona Frau
(Cappellini,Cassina,Thonet,Gufram,Alias),Driade,Moroso


ポルトローナフラウは、イタリアの中核企業である。イタリアの市場はどちらかというと保守的であり、どちらかというとクラシックなものを好むがあるらしい。(私たち日本人がイタリアをデザインの国と思っているのとはすこしズレがあるらしい)ポルトローナフラウでは、アンティークにコンテンポラリーアートを合わせる展示。
カッシーナは昨年とは打って変わってナチュラルなイメージ。植物をパーテーションに使うなど。吉岡徳仁の新作「ヘブン」。
カッペリーニが提案するエコ商品として「カッペリーニ・ラブ」。

アメリカのStephen Burksによる雑誌やをシュレッダーにかけたものやゴムなどのリサイクル素材を使ったテーブルを発表。
モローゾ

吉岡徳仁の新作「ブーケ」。15cm角の布を張り込んでいる。

パトリシア・ウルキオラの新作「Tropicalia」シリーズは、スチールのパイプに紐上の素材を巻き付け、編むことでバリ風のイメージに。

オランダ人デザイナー、Edward Van Vlietの新作シリーズは、鯉や手まりなど和風の柄にインスピレーションを受けて製作したもの。「SUSHI」チェア。
2.<12号館>Kartell,Molteni&C,artec
カルテルはスタルクのルイ王朝風のクラシカルなデザインを透明樹脂で作った「ルイゴースト」。
パトリシア・ウルキオラの椅子は堅いポリカーボネート樹脂でやわらかな表情を表現している。
Molteni&C

ジャン・ヌーベルによる「スキン」は一枚革に切り込みをいれたソファ。単純に見えるが革の品質が良く、技術があるからこそ成立するデザイン。
アルテックアルヴァ・アアルトの「stool 60」を約700脚積み上げた。
「A SENSE OF SUSTAINABILITY(サステナビリティの感覚)」をテーマとしたパートでは、過去の作品をリメイクしたシリーズ「アルテック・クラシックス」の中から3作品を展示。カイ・フランクが40年に発表したラウンジチェア。
アルヴァ・アアルトが30年前後にパイミオに建てたサナトリウムのためにデザインした「Hallway chair 403」。バーチ材の合板でできている。
3.<6号館>Calligaris,sozo_comm
sozo_commは、経済産業省による日本企業6社の合同ブース。参加企業はRITWELL、IYOBE、コスガ、マルウチ、そえじま、カリモク
4.<5号館>MERITALIA,MAGIS,Living Divani
メリタリアはベリーニの昨年発表した光るクッション「ミルキーウェイ」がより家具的になった「スターダスト」として発表された。
Living Divaniでは、倉俣史朗の椅子を復刻している。
MAGIS(マジス)はそれまでの「プラスティック」イメージを一新し、アルミ、木を使用したイス・テーブルを中心に発表した。会場デザインはステファノ・ジョバンノー二が担当している。
5.<7号館>Flou
フルーのブースはガラスの壁に水を流して滝のような演出をしていた。ベリーニの新作ベッド「グランドピアノ」。
6.<11号館>Polo
ポロはイタリアの新しい家具メーカー。ソファが上代15万円くらいの廉価な商品ラインナップである。南イタリアで製造されている。デザインを伊藤節&志信氏で担当されいてる。
7.<15号館>
フランスベッドはデザイナーに奥山清行氏「エグゼクティブコンフォートチェア」を発表。
山形カロッツェリアプロジェクトでは山形工房として合同出展した。奥山氏デザインの新作で折り紙のような椅子である「オリズル」を発表。

トリエンナーレ

センピオーネ公園の中央にあるトリエンナーレ美術館。美術館の中や周辺ではとにかくたくさんの展示が行なわれている。
・カッシーナの展示では同社の歴史を紹介する「MADE IN CASSINA」を開催していた。
・「Gio Ponti e Christofle」では1925年から2008年までにジオ・ポンティが手がけたクリストフル社のためのデザインを展示。
・日本企業の展示ではキャノンが「NEOREAL」展を開催。ボストンの美術館にある琳派狩野派の屏風絵を、キヤノンデジタルカメラでスキャンし、大判印刷機で再現したものや石上純也氏によるインスタレーションが行われた。
・フランスデザインを紹介した「VIA」とスイスのVitra社のよる展覧会「Vitra edition」が開催。

VIA展示風景
深澤直人「Chair」

干し草やコンクリートRIMOWA社のトランクでつくったチェアなど形は同じで様々な素材で作った椅子を展示。
【フォーリサローネ】ミラノ市内
・”TOKYO WONDER”CURIOSITY×TONERICO グエナエル・ニコラ氏率いるキュリオシティと米谷ひろし氏、君塚賢氏、増子由美氏によるデザインユニットのトネリコによるミラノ市内の伝統あるギャラリー「LA POSTERIA」での共同エキジビション。今年見るべきエキジビションに選ばれていた。
・インゴ・マウラーによるエキジビション「The Untitled Snow」。
TOYOTA "LEXUS L-finesse先鋭-精妙の美"をテーマとしたnendoによるエキジビション。コンセプトはL-finesseの考え方を基に、ダイヤモンドの結晶構成を応用した「軟らかいけど強い」。
Tod'sはカッペリーニ氏が選ぶ3名のデザイナーによるショーウィンドウディスプレう。nendoがカーペット「LUCKY」を制作。
・FUROプロジェクト in ミラノ 橋本夕紀夫の「TOMOE」、

小坂竜「HINOKI」が出展。
ドリアデは伝統工芸的なものをインテリアとして使っていた。
パナソニックは、深澤直人のプロトタイプとパトリシア・ウルキオラによる会場構成&マッサージチェアのプロトタイプ。
・デュポンはミッソーニとのコラボレーション。ミッソーニによるデザインがいままでに見たことのないデュポンを実現していた。
アルテックマリメッコとのコラボレーション。
・Design Gallery Milanoでのアレッサンドロ・メンディーニ、ミケーレ・デ・ルッキ、アンドレア・ブレーニのグループ展。アートピースとしての家具を展示。
ミラノ大学でのINTERNIによるエキジビション。テーマは「環境」。
【ゾーナトルトーナ】
・moooiはマルセル・ワンダースによる新作テキスタイルパターンデザインが出展。
・Poliformはマルセル・ワンダースによるホワイト・ゴールド・ブラックによる夢の家を実現。
・BISAZZAでは、ハイメ・アジョンによるモザイクの大きな飛行機を展示。
・スワロフスキーは毎年恒例の「クリスタルパレス」。10組のデザイナーによるエキジビション。ザハ・ハディド「RE」、吉岡徳仁「Eternal」、ポール・コックセージ「VEIL」など。