ヴィルヘルム・ハンマースホイ展に行ってきました@国立西洋美術館

毎度のことながら、また最終日先日になってしまいました。さすがにかなりの混雑だったので、すべてじっくり観るのに2時間半かかりほぼ閉館時間ぎりぎりになってしまいました。
今から100年前の遠い国であるコペンハーゲンで描かれた画であるのに、今観ても全く古さを感じないのは一体何故だろう?
ハンマースホイと同時代の画家で、友人でもあるピーダ・イルステルズとカール・ホルスーウの画と比較すると、その差は歴然だ。室内や人物が室内で佇んでいる後姿というモチーフは同じである。この二人はハンマースホイから影響を受けて、そのようなモチーフを描いていたが、モチーフが同じであっても描こうとしているものが全く違う。二人の友人の画の方が人気があったことは想像できることである。明るい色調で親しみやすい。もし家に飾るのであれば幸せを感じる画を選ぶであろう。しかし、二人の友人はそういう画を描いたけれど、ハンマースホイの画に影響されたということはその魅力を十分感じていたに違いない。
誰もいない室内の画や、後姿という決してポジティブな印象ではない画なのに、ひそかに心の中に忍び込んでくるような感じである。普段は誰にも話さないけれど、ふと不安に襲われそうになるような気持ちを思い出すような画である。
近代という変わり目で、人が何かを表現しなければと思うその何かが、言葉にしてしまうとなんとなく腑に落ちてしまって解ったような気になってしまうが、アートというのはそういったモヤモヤとした何かを感じさせるものである。描かれている室内の景色を観ているのではなく、心の奥底に押し込めていた夕暮れ時のせつないようなどうしようもない気持ちをハンマースホイの作品を観ていると思い出してしまう。