ピカソ展:最終日@国立新美術館〜サントリー美術館

強行軍のピカソ展はしごをしてしまい、結構足腰にくるものがありました。ピカソといえば20世紀を代表する画家ですが、正直凡人には理解できないステージにいるのです。まあ、凡人をおいてきぼりにして圧倒的な価値をつけたということに関しては、その事実自体はすごい戦略だと思います。その戦略を構築したのは本人と彼のパトロンたちなのですけどね。ただ、単なる戦略ではなく実力の上に構築されている戦略だと言えるでしょう。
まあ、複雑な話はどうでもいいとして作品の話。ピカソは多様なスタイルを持つ非常に珍しい画家です。あまりにもその作風が多様なので、いわゆるピカソ風というのがいくつもある。それもすごいことだと思います。また、ちょっとそれはどうかと思うことに作風を変えるために付き合う女性を変えるというのも、モラル的には破綻しています。まあ、ちょっと違うかもしれませんが、女優が多くの男性との恋愛をして演技力を磨いていくようなものです。違う言い方をするとしたら、自分がステップアップするために交際相手を変えるということ。すごいですねぇ。すごすぎます。そこまで自分の仕事のために、他人を一種犠牲にできる強靭な精神を感じます。で、随分遠回りしましたがピカソの作品の話。作品の中にはとうてい理解できない、そしてすばらしいとは思えないものが多くあるのですが、その反面本当にすばらしい作品がある。それは何なんだ?ピカソが自分の価値を圧倒的に高めるための戦略だと私は思っています。だが、圧倒的にすばらしい作品も同時に描いている。メインストリームは凡人の理解を超えた作品で、みんながすばらしいと思える作品は、敷居が低くて価値として他の作家の作品と比較できてしまうからその分の価値が目減りしてしまうということを思っていたんじゃなかろうか?と私は想像しています。まあ、やっぱすごい画家だというのが結論なんですけど。

ドラ・マールの肖像