“なんちゃって天然木”に一言@ケンプラッツ

“なんちゃって天然木”に一言
私は以前、その“なんちゃって天然木”を開発する立場にいました。そのさらに前には、使う側(提案する側)にいました。建材の木目開発は本当に大変でした。開発をするにあたって、まずは海外での展示会でトレンドリサーチをします。建材の開発には2年程かかりました。リサーチの内容は、例えばミラノサローネで発表される家具に使われているカラーや材質やテクスチャーなどです。さらに、その前にはそれらの家具や建材のサプライーヤーメーカーがトレンドにあった素材を発表する展示会もあります。それらをリサーチして開発し始めます。私が携わっていたのは木目の柄開発とエンボス(質感)でした。建材印刷というのは塩ビのシートに、木目の柄を印刷するわけですが、原稿は本物の木をスキャンして元画像で使います。ロール印刷をしますので版はつながるように柄を作成します。そして印刷の試刷を何度も行い、時には色を数色展開します。建材の印刷をする印刷会社さんはそれほど数としては多くありません。それは非常に難しいからだと思います。
コントラクト物件などでは、メンテナンスや価格を重視するために印刷の木目シートが多用されています。昔は無地のシートが多かったのですが、最近はやはりトレンドなので木目シートが多いです。ぱっと見で、本物の突板だと思ってもらえるものを開発する側は目指しています。本物は確かにすばらしいです。できれば自分の住まいには使えたらいいなと思います。ただ、限られた資源であることも確かです。そのため結果的には価格も高いと思いますし、メンテナンス性も加工されたものの方が簡単なのです。木は生きていますから当然伸縮します。それをクレームにされてしまうのが日本なのです。日本人は、非常に品質に対してとても厳しいです。自分もそういうところがありますからわかりますし、納得もしています。しかし、物質の特性というものがあるということは認めないし、妥協もしない。そのわりには自分で使うものをメンテナンスフリーという機能を追及する。これは非常に矛盾しているということに、書きながら気がつきました。建築業界(インテリア)はその都度新しいものを作っています。製品については工場のラインで作ったものを納めます。しかし施工を伴うということは、新しいものを作っているのと同じであるということを理解していただければなぁと思います。

人気のブラックウォールナット。高級家具に使われていマス。
こんな感じのものを開発しておりましたよ。